ミリオンダラー・ベイビー

Million Dollar Baby

 

 

★アメリカ*アルバート・S・ラディ・プロ/マルバソ・プロ/レイクショア・エンターテインメント=ワーナー・ブラザース 2004年度作品

 

★スタッフ
監督■クリント・イーストウッド、製作■クリント・イーストウッド/ポール・ハギス/トム・ローゼンバーグ/アルバート・S・ラディ、製作総指揮■ロバート・ロレンツ/ゲーリー・ルチェッシ、脚本■ポール・ハギス、原案■F・X・トゥール、音楽■クリント・イーストウッド/カイル・イーストウッド、撮影監督■トム・スターン、編集■ジョエル・コックス

 

★キャスト
クリント・イーストウッド フランキー・ダン
ヒラリー・スワンク マギー・フィッツジェラルド
モーガン・フリーマン エディ・スクラップ
ジェイ・バルチェル デインジャー・バーチ
マイク・コルター ビッグ・ホワイル・リトル
ルシア・リーカー ビリー“ザ・ブルー・ベアー”
ブライアン・F・オバイン ホーヴァク神父
アンソニー・マッキー シャウレル・ベリー
マーゴ・マルティンデール アーライン・フィッツジェラルド
リキ・リンドホーム マーデル・フィッツジェラルド
マイケル・ペナ オマー
ベニト・マルティネス ビリーのマネージャー
ブルース・マクヴィッティ ミッキー・マック
デイヴィッド・パウレッジ ダイナーの殴られる男
ジョー・ダンジェリオ カットマン

 

★おはなし
小さなボクシング・ジムを営む老トレーナーと、31歳になる女性ボクサーが、血の滲むような努力の末、チャンピオン街道をまっしぐらに進み栄光を掴もうとする…というお話。

 

★ひとこと
イーストウッドが『許されざる者』に次いで、アカデミー賞の作品賞と監督賞をダブル受賞した名作。監督のみに専念した前作『ミスティック・リバー』同様、“暗くて悲しい物語”を取り上げた訳だが、両作とも、賛否両論真っ二つに割れているのが面白い。否定派の大方の意見は、「こんな救いの無い悲しい物語はヤだ」(大意・笑)という事らしいが、世の中には、楽しい事しか存在しないと思っているその人たちに一言。「よく観ろ若者たち。これが映画だ。これが人生だ!」

映画の中であれ実生活であれ、楽しい事ばかりじゃないんですな。辛くて悲しい事の方が多い。それが人生なんですな。それをイーストウッドは、類い希なる演出力と語り口でもって、身を呈して証明して見せてくれた訳ですな。また、やたらリメイクや続編しか作らなくなり、明るいポップコーン・ムービーばかり作っている、今のハリウッド映画の現状に渇を入れたという点でも、この映画の存在意義は素晴らしいと思います。多分、この映画にオスカーを与えてしまった人たちも、その勢いに押されてしまって、目が覚めてしまったんでしょうな、多分…。

 

★うらばなし
  前作『ミスティック・リバー』でオスカーの主演男優賞と助演男優賞をもたらし、この作品に於いても、主演女優賞と助演男優賞をもたらしたイーストウッド映画ですが、御大本人は、監督賞は頂くものの、なかなか演技賞では受賞出来ないのが歯痒い所です。初のオスカーに輝いた『許されざる者』にしても、ジーン・ハックマンは助演男優賞を獲得したのに、御大は主演男優賞ノミネートにも関わらず、賞は逃がしてましたね。まぁ多分、監督も兼任しているので、監督賞を獲ったんだから、演技賞の方は遠慮して貰おうという魂胆もあるんでしょうが、やはり、俳優としては、一度はオスカーを手にしたいと、本人も思っているのではないでしょうか。

因みに、イーストウッドがオスカーで主演男優賞にノミネートされたのは今回と『許されざる者』の2度だけで、ナンか、作品・監督賞絡みの時だけというのが、ちょっと寂しい気がします。今後は、出演のみという機会があるかどうか分かりませんが、もしあれば、是非とも素晴らしい演技を披露して貰って、俳優オンリーで賞レースに参加して欲しいと思うのですが、どうでしょうか。

あと、撮影当初この映画は、“Rope Burns”(ロープに萌え!)という原題だった訳ですが、撮影途中から、今のタイトルに変更されています。実際、この“Million Dollar Baby”というタイトルの映画は古い映画で2本有り、その2本共がコメディ映画だった関係上、同タイトルを持つこの映画も、当初は老トレーナーと女ボクサーとのラブ・コメディかと思われていた訳ですが(前半は、何となくそういう雰囲気がしますが…)、実は全然違っていた…というドンデン返しは、まるでKOパンチを食らったかのようなインパクトを受ける訳で、もしかするとタイトル変更も、その辺りを意識しての事だったのではないかと、ちょっと勘ぐってしまいますね。

 

★データ
テクニカラー/パナヴィジョン(アナモ)/スコープ・サイズ/ドルビー/dts/SDDS/132分

日本公開:2005年5月28日(松竹=ムービーアイ共同配給)

アメリカ公開:2005年1月28日(WB配給)

2004年度アカデミー賞■作品賞、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)、監督賞(クリント・イーストウッド)受賞

 

        

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