ミスティック・リバー

Mystic River

 

★アメリカ*マルパソ・プロ/NPVエンターテインメント/ヴィレッジ・ロードショウ・ピクチャーズ=ワーナー・ブラザース映画 2003年度作品
 

 

★スタッフ

      監督■クリント・イーストウッド、製作■クリント・イーストウッド/ジュディ・ホイト/ロバート・ロレンツ、製作総指揮■ブルース・バーマン、脚色■ブライアン・ヘルゲランド、原作■デニス・ルヘーン、音楽■クリント・イーストウッド/カイル・イーストウッド、撮影監督■トム・スターン、編集■ジョエル・コックス
 

 

★キャスト

ショーン・ペン .... ジミー・マーカム
ティム・ロビンス .... デイヴ・ボイル
ケヴィン・ベイコン .... ショーン・デヴァイン
ローレンス・フィッシュバーン .... ホイットニー・パワーズ
マーシャ・ゲイ・ハーデン .... セレステ・ボイル
ローラ・リニー .... アナベス・マーカム
ケヴィン・チャップマン .... ヴァル・サヴェージ
トム・グーリー .... ブレンダン・ハリス
エミー・ロッサム .... ケイティー・マーカム
スペンサー・トレート・クラーク .... レイ・ハリス
アンドリュー・マッキン .... ジョン・オシア
アダム・ネルソン .... ニック・サヴェージ
ロバート・ウォールバーグ .... ケヴィン・サヴェージ
ジェニー・オハラ .... エスザー・ハリス
ジョン・ドーマン .... 運転手

 

★おはなし
少年時代に幼馴染みだった3人が、内一人の娘が殺された事がきっかけに25年ぶりに再会、事件の真相究明とともに、深い哀しみを秘めた3人それぞれの人生が少しずつ明らかになっていくというお話。

 

★ひとこと
イーストウッドが『真夜中のサバナ』以来6年ぶりに監督オンリーに徹した意欲作。今回もまた、原作ものの映画化であるが、イーストウッド映画史上初めてと言ってもいいぐらいの、超悲劇となっている。観客を泣かせるツボは、既に『マディソン郡の橋』で習得済みだが、今回は喜びの果ての悲しみの映画ではなく、オープニングからラストまで、ズッシリと重いもの背負った暗くて鬱な映画に仕上がっていて、イーストウッド史上最大の陰鬱な映画と相成った。

単なる暗くて悲しい映画なら数多くあるが、この映画は、昔、テレビの「ヒッチコック劇場」で観た「引き金」という傑作エピソードや、我が深作欣二の傑作『県警対組織暴力』のように、ある事が引き金になって、運命が翻弄され、どうしようもない結末に導かれてしまう男たちを描いたという点で、この映画も映画史に残る名作に成り得てますな。特に女性の描写に於いても、深作作品同様、“男の影に女有り”的な要素を散りばめる事で、それまでのイーストウッド・ヒロイン像から一歩前進した女性像になっている点も興味深いですな。

 

★うらばなし
今回初めて、劇伴音楽の全てをイーストウッド自らが担当。そのサントラ盤も、単なる劇音楽の範疇に収まらず、ジャズ・スコアとしても傑作アルバムになっているというのが、いかにも御大らしいですな。1曲だけ、御子息のカイル君の曲も収録されているのは、親心として心温まりますな。

あと、劇中に登場する雑貨屋の親父に、イーライ・ウォラックが扮しているのは、長年のイーストウッド・ファンからしたら嬉しい事ですな。『続・夕陽のガンマン』以来、37年ぶりの顔合わせという事で、ウォラック自身も、かなりお年を召しているので、気付かない人もあるかも知れませんが、声なんかは、往年のまんまなのが笑えますな。で、思ったんですが、もし、リー・ヴァン・クリーフが生きていたら、彼もゲスト出演していたんでしょうか。惜しい人を亡くしましたな、マッタク…。

因みに、この映画でアカデミー主演男優賞を獲ったショーン・ペンですが、彼の実弟クリス・ペンは、『ペイルライダー』で既にイーストウッドと共演しているので、これで兄弟揃っての御大映画出演となった訳ですね。

★データ
カラー/パナヴィジョン(アナモフィック)/スコープ・サイズ/ドルビー/dts/SDDS/137分

日本公開:2004年1月10日(ワーナー配給)

アメリカ公開:2003年10月15日(WB配給)

2003年度アカデミー賞■主演男優賞(ショーン・ペン)、助演男優賞(ティム・ロビンス)受賞

 

          

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