シティヒート

City Heat

                        

★アメリカ*マルパソ/デリヴァランス・プロ=ワーナー・ブラザース提供 1984年度作品

★スタッフ
監督■リチャード・ベンジャミン、製作■フリッツ・マーネイズ、脚本■サム・O・ブラウン/ジョセフ・C・スティンソン、原案■サム・O・ブラウン、音楽■レニー・ニーハウス、撮影監督■ニック・マクリーン、編集■ジャクリーン・キャンバス

 

★キャスト
クリント・イーストウッド .... スピアー警部補
バート・レイノルズ .... マイク・マーフィ
ジェーン・アレクサンダー .... アディ
マドリーン・カーン .... キャロライン・ハウリー
リップ・トーン .... プリモ・ピット
アイリーン・キャラ .... ギニー・リー
リチャード・ラウンドトゥリー .... デール・スイフト
トニー・ロー・ビアンコ .... レオン・コール
ウィリアム・サンダーソン .... ロニー・アッシュ
ニコラス・ワース .... トロイ・ロッカー
ロバート・ダヴィ .... ニーノ
ジュード・ファレス .... ダブ・スラック
ジョン・ハンコック .... 太っちょフレディ

 

★おはなし
1933年、カンサスシティ。冷静でスゴ腕のスピア警部と、女にモテモテの私立探偵マイク・マーフィーは、警官時代同期で、ことある事にいがみ合う喧嘩仲間。その二人が、とある事件をきっかけに、諍いを起こしながらも、暗黒街の組織と戦い、殲滅させる…というお話。

 

★ひとこと

当時のマネーメイキング・スター、イーストウッドとバート・レイノルズが初共演した話題作。この二人のスターの共演話は、かなり前からあったらしいが、二人のスケジュールやら、いい企画がなかった為等で、なかなか実現しなかった。ここに来て、ようやく実った訳だが、出来上がった映画は御覧の通り。単なる顔つなぎ程度に終わってしまったのは残念である。

二人の仲が悪いとか、色々言われていたが、実際に二人は大の仲良しらしい。ただ、回りの者が気を遣い過ぎて、結局こうなってしまったようだが、最大の原因は、やっぱり脚本だろう。本来なら、二人の個性を生かした、ハードなアクションものが適していた筈なのに、実現が遅くなってしまった為、あまり派手なアクションものは作られなかったようだが、それならそれで、もっとやり方があった筈である。

でもまぁ、ケラケラ笑って観るのには、そこそこ面白い一編で、何たって、この二人の顔を同じスクリーンで見られるっていうのが、この映画最大の魅力であるから。

 

★うらばなし

元々は“ピンク・パンサー・シリーズ”でお馴染みのブレーク・エドワーズ監督でスタートしたこの映画、途中でエドワーズ監督が、「やってられない!」と降りてしまったのだが、それはどうも、二人のスターを対等の立場で描けという、エージェントや映画会社等の要望が強過ぎたかららしい。

確かに、当時のアメリカのマネーメイキングで一・二を争う二人だけに、その扱いは、針山に触るぐらい、ビクビクしていたものだろう事は、想像に難くない。だが、肝心の当の本人たちが、一体どういう思いを持っていたのか、という事は、映画にあまり反映されていないのは、やっぱり致命的だ。エドワーズは、自分の名前を脚本に残すのも嫌がったらしく、自分の名前をサム・O・ブラウンという変名にしているのだが、これはその前に作った『S.O.B』の頭文字そのままである。

代わりに抜擢されたリチャード・ベンジャミンは、『ウエストワールド』や『ドラキュラ都へ行く』等に出ていた俳優で、演出経験は“My Favorite Year”(81)以来これが2作目。その後も『マネーピット』も監督している事から考えて、コメディは得意なようだが、しかし、この映画は、ちょっと中途半端過ぎた。

因みにこの映画、イーストウッドの主宰するマルパソ・プロと、レイノルズが主宰するデリヴァランス・プロとの共作という形をとっており、スタッフも、いつものイーストウッド組とレイノルズ組とに、キレイに分かれている。それがダメだったという見方も出来るのだが……。

 

★データ

テクニカラー/パナヴィジョン(レンズ&パナフレックス・カメラ)/ヴィスタ・サイズ/ドルビー・ステレオ/98分

日本公開:1985年4月27日(ワーナー配給)

アメリカ公開:1984年12月7日(WB配給)

 

      

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