許されざる者

Unforgiven

                           

              

 

★アメリカ*マルパソ・プロ=ワーナー・ブラザース提供 1992年度作品
 

★スタッフ

     

監督&製作■クリント・イーストウッド、製作総指揮■デイヴィッド・ヴァルデス、脚本■デイヴィッド・ウェッブ・ピープルズ、音楽■レニー・ニーハウス、撮影監督■ジャック・N・グリーン、編集■ジョエル・コックス

 

★キャスト

クリント・イーストウッド .... ウィリアム“ビル”マニー
ジーン・ハックマン .... リトル・ビル・ダガート
モーガン・フリーマン .... ネッドローガン
リチャード・ハリス .... イングリッシュ・ボブ
ジェイムス・ウールヴェット .... スコフィールド・キッド
ソール・ルビネック .... W・W・ビーチャム
フランセス・フィッシャー .... ストロベリー・アリス
アンナ・リヴァイン .... デリラ・フィッツジェラルド
デイヴィッド・マッシ .... クイック・マイク
ロブ・キャンベル .... デヴィー・バンティング
アンソニー・ジェームズ .... スキニー・デュボア
タラ・フレデリック .... リトル・スー
ビヴァリー・エリオット .... シルキー
レサ・レポ=マーテル .... フェイス
ジョシー・スミス .... クロウ・クリーク・ケイト

 

★おはなし
かつては西部に名を馳せた殺し屋で、今は幼い子供達を養う為に農作業に従事している男が、賞金をかけられた無法者を追う為に、かつての相棒や粋がる若者と共に旅に出て、再び殺しに手を染める…というお話。

 

★ひとこと

イーストウッド監督第16作目にして、初のオスカーを受賞した、記念すべき映画。イーストウッド自らが、「最後の西部劇」と称して精魂込めて作った、紛れもない傑作ウエスタン。マカロニ・ウエスタンで、今日のイーストウッドのあり方=西部劇との関わりを見出した彼自身による、西部劇に留めを射した、いわば鎮魂歌のような珠玉の名品。

イーストウッド西部劇の永遠のテーマである、暴力に対しての考え方をストレートに描き、これ以上ないと言っても過言ではないぐらい、人間の奥底の心理を、情緒溢れる西部の風景をバックに克明に描き上げた、これこそイーストウッド入魂のウエスタン。時代的な背景として、女性の権利に対する考え方も含んでいる所に、イーストウッドの、今を見る目が確かな事である事を、如実に感じ取る事が出来るのも、素晴らしいものがある。

 

★うらばなし

最初、敵役である保安官役にジーン・ハックマンがオファーされた時、「暴力映画は好きじゃない」と、断ったという。しかしイーストウッドは、「この映画は暴力を賛美する映画ではない。暴力のあり方に対する疑問、そして、何故人間に暴力が生まれるのか、その問題に対する映画なのだ」と言って、ハックマンを説き伏せたという。その結果遂に、『ダーティハリー』のイーストウッドと、『フレンチ・コネクション』のジーン・ハックマンの夢の共演が実現した訳である。

全体の音楽は、お馴染みのレニー・ニーハウスが担当しているが、テーマ曲となっている「クローディアのテーマ」だけは、イーストウッド自らの作曲で、「クローディア」とは主人公ウィリアム・マニーの亡き妻である。つまり、主人公の妻に対する思いを、イーストウッド自らが体現しようとした訳であり、その魂の入り方からして、この映画を素晴らしいものにしている要因になっている。

また、ご存知のようにこの作品は、1992年度のアカデミー賞で、作品・助演男優・監督・編集の4部門で、見事受賞しており、年末の日本国内のベストテンでも、ベストワンを総ナメにしている。日本では、オスカー最有力候補と、早くも騒がれていた為、公開が急遽、オスカー発表後に遅められ、我々イーストウッド・ファンは、約半年間も、待たされてしまったが、結果的には、オスカー受賞の重みが加わって、十二分にこの映画を堪能する事が出来たのだった。

 

★データ

テクニカラー/パナヴィジョン(フィルム)/スコープ・サイズ/ドルビー・ステレオ/131分

日本公開:1993年4月17日(ワーナー配給)

アメリカ公開:1992年8月7日(WB配給)

1992年度アカデミー賞■助演男優賞(ジーン・ハックマン)、監督賞、編集賞受賞

1992年度全米批評家協会賞■作品賞、主演男優賞(クリント・イーストウッド)、助演男優賞、監督賞、脚本賞受賞

1992年度ゴールデン・グローヴ賞■助演男優賞、監督賞受賞

 

                

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