他のメディアに登場したイーストウッド映画

 

イーストウッドの映画は、よく、他の映画やその他のメディアに登場している場合がある。

 それだけ、イーストウッド映画がポピュラーである証拠だと思う訳だが、

そこでこのコーナーでは、他のどんな映画(メディア)に、

どんなイーストウッド映画が登場しているのか、

紹介と検証を兼ねて、追跡調査していきたいと思う。

 

 

その1.『荒野のストレンジャー』

初期の作品でありながら、、比較的多く登場しているイーストウッド映画である。

まず、イーストウッドの自作『愛のそよ風』に登場。劇中、ウィリアム・ホールデンとケイ・レンツのカップルが、デートで映画を観に行くシーンがあるのだが、その映画が何と、『荒野のストレンジャー』だった。実際に画面に映画は登場しないが、劇場に入る時だったか、出る時に、チラッとポスターが映る。それが『荒野のストレンジャー』だったという訳。全く持って手前味噌というか、セルフ・パロディな訳だが、監督に専念したこの映画では、イーストウッドが楽な気持ちで撮っているという証拠だろう。なお、このエピソードが、そんなに有名ではないのは、おそらくこの『愛のそよ風』が、日本では未公開に終わっているからだろう。僕自身、テレビ放映で観るまでは、全く知らなかった事だった。

続いて同じユニヴァーサル映画だった『大地震』に登場。出演者の一人で巨乳のヴィクトリア・プリンシパルが、兄貴の友達(リチャード・ラウンドトゥリー)のバイクの曲芸乗りに飽きて、「今から、映画を観に行ってくるワ。クリント・イーストウッドよ!」と言った後、劇場のシーンに変わると、画面に映っているのが、『荒野のストレンジャー』。ちょうど、風呂に浸かっていたイーストウッドが、後ろからやってきた男たちを皆殺しにするシーンで、撃ち終わるか終わらないかという時に、突如グラグラと大地震が発生。場内はパニックになり、上映されていた『荒野のストレンジャー』のフィルムも、グシャッとひしゃげてしまうという、いわば地震発生の瞬間に上映されていた記念すべき(?)映画として登場。思わず、「あの続きが観たい!」と思ってしまったのは、僕だけだろうか。

それともう一つ、実は、タイトルを失念してしまったのだが、何か、ギャングものの小説に、この『荒野のストレンジャー』の話が出てくるという事を、以前聞いたか読んだか、した事があるのだが、すみません、題名忘れちゃいました。何でも、登場人物の一人が、「昨日、町全体をペンキで真っ赤に塗りつぶしちまう、ヘンな西部劇を観たゼ」と、仲間に話している場面だったと思い、当然ながら、“町全体を真っ赤に塗りつぶす西部劇”というのは、『荒野のストレンジャー』唯1本である。

 

 

その2.『恐怖のメロディ』

これも実は、イーストウッド映画に出てくるパターン。

『恐怖のメロディ』の次に撮ったイーストウッド映画『ダーティハリー』に登場。前半最大の見せ場である、主人公のハリー・キャラハンが、ホットドッグをパクつきながら、たまたま出逢った銀行強盗一味を殲滅してしまうというシーン。

映画の画面では、なかなか確認しにくいが、その場面のスチル写真では、ちゃんと確認できる。イーストウッドがマグナム44を構えて撃つシーンのバックにある映画館の看板(だけしか映っていないが)に書かれてあるタイトルは、まさしく“Play Misty For Me”即ち、『恐怖のメロディ』である。

この『ダーティハリー』は、ほとんど全編がサンフランシスコ・ロケされているが、この銀行強盗のシーンだけは、ハリウッドのバーバンク・スタジオのセットで撮られたものだという。という事は、あの場面にわざわざ『恐怖のメロディ』上映中の映画館を設定したのは、完全にシーゲル監督とイーストウッドの確信的犯行という事になり、二人のほくそ笑んでいる姿が思い浮かぶようだ。

 

 

その3.『ダーティハリー』

これはもう、一番登場回数の多いイーストウッド映画だろう。映画や画面として登場するというよりも、他の映画の出演者のセリフに登場する場合がも最も多く、ここでは書ききれないぐらい、多数登場している。

例えばシュワちゃんの『レッド・ブル』。ラスト近くで、相棒刑事のジム・ベルーシに「『ダーティハリー』と同じ拳銃だナ」と言われ、「ダーティハリー? 誰だそれ?」とシュワちゃんが答えていた。

それと新しい所では、ジム・キャリー主演の『マスク』でも、ジム・キャリーが、この映画の名セリフである「考えてるナ。俺の拳銃にまだ、弾が残ってるかどうか〜」というセリフを一発カマしていた。

それと、やはり、ハリーの愛銃であるマグナム44を紹介する時は、必ずといってもいいぐらい、これは映画やテレビに限らず、本や雑誌等の書物でも、『ダーティハリー』が引き合いに出される事が非常に多いのも特長だ。

珍しい例では、フォークソングにも登場した事。吉田拓郎がまだ、“よしだたくろう”と平仮名で活躍していた70年代前半、その頃に発表した「元気です」というアルバムの中に「加川良からの手紙」という歌があり、その中の歌詞の一部に、「あの日の映画『ダーテイハリー』はどうでした?」という件が登場する。男が女に、昨日一緒に観た映画の事を手紙に書いているという内容で、その後歌詞は 「君はニュースの方が楽しそうだったけれど、クリント・イーストウッドってイイでしょう〜」と続き、ちゃんとイーストウッドの名前が入っている辺り、さすがはたくろう(ファンなんです)! と思ってしまったものでした。

 

 

その4.『荒野の用心棒』

『ダーティハリー』に次いで、引用されるケースが多い作品である。

まず、これはよく知られている『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』。ビフがバスタブに入って観ているテレビで『荒野の用心棒』が放映されている。ちょうどそこへ駆け付けた主人公のマーティが、おそらくその場面を覚えていたのだろう。という伏線が敷かれたシーンで、何故ならそのシーンとは、ちょうどクライマックス。ジャン・マリア・ヴォロンテの放った銃弾がイーストウッドに命中するが、全然倒れず、撃ち終わったヴォロンテのキョトンとした顔を尻目に、イーストウッドがポンチョの下から取り出したのが、鉄板だったという仰天シーンだからで、マーティは『PART3』のクライマックスでビフと対決する事になるが、その時に取った手段が、『荒野の用心棒』と同じモノであったからだ。

尚、その『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』は、映画全体がイーストウッドへのオマージュが捧げられた映画になっていて、主人公が西部の時代ではイーストウッドという役名になっている他、登場人物たちの中にも、イーストウッド映画の常連俳優が多数出演していて、さながらイーストウッド大会になっていたのは嬉しかった。ロバート・ゼメキス監督が大のイーストウッド・ファンだという事だったからだが、そういえばゼメキスの1作目『抱きしめたい』では、大好きなビートルズに纏わる映画だった事を思うと、結構ミーハーな監督である事が分かる。さすがはUCLAの映画科卒業生だ。

他の例で言うと、松田優作主演の遊戯シリーズ第1弾『最も危険な遊戯』のクライマックスでも、優作兄イは、敵の銃弾を跳ね返す為に、胸に鉄板を入れていた。それと第2作の『殺人遊戯』は、二つの組織をまたにかけて、一人の殺し屋(用心棒)がアッチ行ったりコッチ行ったりした挙げ句、最終的に両方の組織を潰してしまうというストーリー自体、これは紛れもなく『荒野の用心棒』そのものであり、遊戯シリーズが、イースットウッド映画がベースにあったとは、なかなか面白いポイントである。そういえば、『殺人遊戯』で優作兄ィが持っていた銃がマグナム44の8インチ・タイプだったっけ。

 

 

その6.『続夕陽のガンマン/地獄の決斗』

これは、シチュエーションがよく引用される事が多い。特にタランティーノ関連の映画に、この映画のクライマックスである三角決闘のシーンが、よく引用されており、実際に『トゥルー・ロマンス』の中でも、主人公のクリスチャン・スレイターが自分の好きな映画として、この映画のタイトルを挙げていたぐらいで、タランティーノも本当に好きなんだろう。

それと、実はイーストウッド映画にも、パロディとして登場しているのは、結構有名だ。ジェームズ・ファーゴが監督した『ダーティファイター』の一場面。中年暴走族と戦う時のバックに、一瞬だけ流れる音楽が、この映画のテーマ音楽だ。ほんの10秒程のさわりだけの登場だが、実際にサントラ盤にも収録されていたから、知っている人は多いと思う。

 

 

その7.『ダーティファイター』

その『ダーティファイター』も、イーストウッド映画に登場した。イーストウッド監督の7作目『ブロンコ・ビリー』の中に、やはり、音楽だけで登場していた。中盤辺りの病院でのシーンで、ソンドラ・ロックに逃げられたジェフリー・ルイスが、何とかロックのいる部屋まで行こうと、屋根伝いに歩いている時、病院の中庭を、口笛吹いて歩いている職員がいて、ルイスは、思わず足を踏み外して落ちてしまうという爆笑シーンで、その職員が吹いている口笛の曲が、『ダーティファイター』の主題歌“エヴリー・ウィッチ・ウェイ”なのであった。自分の映画の中に自分の映画の音楽を流すだなんて、やっぱり、イーストウッドって、シャレが分かる人だと思う。

 

 

その8.『戦略大作戦』

これもイーストウッド自身の映画に登場。といっても、実際はスチール写真だけなのだが。出てきた映画は『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』。この中で、イーストウッド扮するハイウェイ軍曹の歴戦の写真が貼ってある部屋が登場するのだが、その中の1枚が、『戦略大作戦』の時のもの。軍服姿のイーストウッドはあまりないので、苦肉の策として使われたのだと思うが、全然違和感がないのは、さすがであった。

 

 

その9.『ペイルライダー』

2000年度のヒット作『パーフェクト ストーム』の中で、嵐の海上である船の中で、ジョージ・クルーニーが、他の乗組員たちに「観ろ!」と薦めていたビデオの1本がこの作品であった。画面に登場していたのは、ちょうどクライマックスの銃撃戦のシーンで、ま、同じワーナー映画だから出来たのでしょうが、結局死んでしまったあの乗組員たち。最後に観た映画が『ペイルライダー』だったなんて、何て幸せなんだろう。

 

 

その10.『タランチュラの襲撃』

この映画のポスターが、イーストウッドのデビュー作である『半魚人の逆襲』と共に『バック・トゥ・ザ フューチャーPART3』に登場するのはあまりに有名だが、他のイーストウッド映画に登場しているのは、あまり知られていない。

『ルーキー』にほんの一瞬だが、登場している。イーストウッドの相棒であるチャーリー・シーンが、家でテレビを観ているシーンで、チャンネルを変えた時にほんの一瞬、、画面に大きなクモが映し出される。アレが『タランチュラの襲撃』で、この『ルーキー』には、そういうイーストウッドの遊び心がいっぱい詰まった場面がいっぱいあり、今一度、評価されて然るべき作品なのではないかと、思う次第である。

 

 

その11.『ダーティハリー4』

これは1作目同様に、他の映画にはよく登場した作品である。中でも、劇中に発する、例の名セリフ“Go Ahead,Make My Day!”は、流行語にもなり、当時のレーガン大統領も、選挙演説で引用したとかしなかったとか。僕が知ってる限りの登場映画でいうと、『フレッチ/殺人方程式』『バタリアン2』『ミリイ/少年は空を飛んだ』そして勿論、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』等に登場、まだ忘れているものがあるかも知れないが、とにかく公開当時は流行したものであった。

 

 

その12.イーストウッド自身

これは映画じゃなく、イーストウッド自身が他の映画に登場したケース。言うまでもない、あのスピールバーグ製作によるファンタジックなお化けコメディ『キャスパー』である。

映画の冒頭、新しい屋敷に越してきた一家が、お化けの悪戯によって、顔が色々変えられてしまうというシーンで、その中の一人にイーストウッドが混じっていた。他にもメル・ギブソンなどもいたうだが、そのシーンは、あの『ポルターガイスト』での有名なシーンを引用している訳で、そのパロディ精神は、その後、実際に『ゴーストバスターズ』のダン・エイクロイドが登場して締めくくるというパターンになっていて、いかにパロディ風味豊かな映画になっているという事なんだろう。

 

 

この他にも、まだまだ色々あると思われますが、取り敢えず今回はここまで。また、気が付いたら追記しようと思っているのですが、もし、他の情報を知っている人がいたら、是非教えて下さい。ヨロシクお願いします。

 

inserted by FC2 system