イーストウッド・ニュース

 

【2001年3月上旬号】

 

●ウィル・スミスが『恐怖のメロディ』をリメイク!

                  

 『ID4』や『メイ・イン・ブラック』で、エイリアンと戦ったヒーロー、ウィル・スミスが、自分の製作プロダクション“オーヴァーブック・エンターテインメント”でイーストウッドの初監督作『恐怖のメロディ』(71)をリメイクする予定を発表した。

 スミスのパートナーであるプロデューサーのジェームズ・ラシッターによると、現在最高(?)のシナリオ・ライターに、脚本を書かせている最中で、オリジナル版をさらに現代的にした内容にするとの事。

 ストーリーとしては、高校の同窓会に出席し、そこで再会したクラスメートと一夜を共にした主人公が、後々にその女性(28歳という設定らしい)から、しつこく付きまとわれ、挙げ句の果てに生活をムチャクチャにされてしまう恐怖を描くというものになるらしく、当然、主人公には、ウィル・スミスが扮する。しかし、それ以外のキャスティング等、詳しい点までは発表されておらず、いつから撮影に入るかもまだ、未定のようだ。

 『恐怖のメロディ』といえば、現代におけるストーカーの被害を描いたルーツ的な作品で、イーストウッド監督の処女作にしては、意外にもよく出来ていたサイコ・スリラーの傑作である。多分にヒッチコックを意識した作りも、当時はかなり斬新で、イーストウッド映画ではお馴染みのヘリコプター・ショットによるオープニングも、既に本作から始まっていた。

 1987年には、エイドリアン・ライン監督の『危険な情事』に、アイディアがパクられていたが、今回は正式なリメイクという事になるのをみると、ハリウッドでもかなり好まれたストーリーの映画だと言えそうで、それだけ、イーストウッドに先見の明があったという事だろう。

 因みにこのストーリーは、ジョー・ヘイムズという女性が書いたものであるが、それを聞いたイーストウッドが「僕もこのような被害にあった事がある」と興味を示した事から、映画になったというエピソードがある。もしかすると、今度のウィル・スミスも、似たようなストーカー被害を受けた事があるのかも知れず、これはハリウッド・スターにとって、誰もが体験する身近な話なのかも知れない。

 

 

 

●イーストウッドのドキュメンタリー

      

 アメリカでは、イーストウッドに関するドキュメンタリー(主にテレビ放映用)は多数作られているが、それらが日本人の目に触れる機会は少ない。その一部は、日本でもビデオ・リリースされているが、イーストウッド映画の名場面的なものが多く、真の意味でのドキュメンタリーは、なかなか観る事が出来ないのが現状。

 アメリカでは、マーティン・スコセッシが自分で構成・編集した作品が存在する他、アメリカ映画史の一部として、イーストウッド映画を捉えた作品なども作られていて、興味深い事しきり。

 そんな中、アメリカでは、『スペース カウボーイ』以後にテレビ放映されたドキュメンタリーがある。“Clint Eastwood:Out of the Shadows”というタイトルのものがそれで、イーストウッドを始め、イーストウッド映画に縁のある人物が多数登場するというドキュメンタリーとの事。

 ウィリアム・ゴールドマン、ジャック・N・グリーン、バディ・ヴァン・ホーン、ジョー・ヘイムズなどのスタッフは勿論の事、スターでは、ジェームズ・ガーナー、ドナルド・サザーランドなどの『スペース カウボーイ』の共演者に始まり、ジーン・ハックマン、メリル・ストリープ、ジェフリー・ルイス、フォレスト・ホワイテッカーなどの、かつてのイーストウッド映画の出演者に混じって、あの『続夕陽のガンマン/地獄の決斗』で共演したイーライ・ウォラックの顔が見られるのは、何とも貴重で嬉しい映像だ。この作品が日本で観られるのは、果たしていつの事だろうか。出来れば、ビデオでもイイから、リリースして欲しいものである。

 

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