ハートブレイク・リッジ

勝利の戦場

Heartbreak Ridge

 

 

★アメリカ*マルパソ・プロ=ワーナー・ブラザース提供 1986年度作品

★スタッフ

★監督&製作■クリント・イーストウッド、製作総指揮■フリッツ・マーネイズ、脚本■ジェームズ・カラバトソス、音楽■レニー・ニーハウス、撮影監督■ジャック・N・グリーン、編集■ジョエル・コックス

 

★キャスト
クリント・イーストウッド トム“ガニー”ハイウェイ軍曹
マーシャ・メイスン アギー
エヴェレット・マッギル マルコム・A・パワーズ軍少佐
モーゼス・ガン ウェブスター軍曹
アイリーン・ヘッカート リトル・メアリー
ボー・スヴェンソン ロイ・ジェニングス
ボイド・ゲインズ M・R・リング中佐
マリオ・ヴァン・ピープルズ スティッチ・ジョーンズ
アーレン・ディーン・スナイダー チューゾー軍曹
ヴィンセント・イリザリー ランス・フラガッテイ
レイモン・フランコ アポンテ
トム・ヴィラード プロフィール
マイク・ゴメス クイノンズ
ロドニー・ヒル コリンズ
ピーター・コッチ スウェド・ヨハンセン

 

★ストーリー
ダラダラした海兵隊部隊を古参の鬼軍曹がビジヒシと鍛え上げ、やがて戦場へと送り出す…というお話。

 

★ひとこと

イーストウッド12本目の監督作だが、カーメルの市長に就任後、初の映画出演であり、ファンからは待望されていた作品である。今回は、海軍の若手兵士たちに、戦い方、そして何よりも、戦場での生き残り方を、身を以て教え込む、トム・ハイウェイ軍曹に扮し、今まではまた違ったキャラクターに挑戦しているイーストウッドの意欲作だ。

ムード的には、リー・マーヴィンが同じような軍曹を演じた『最前線物語』に似ているが、アチラのような、実際に戦場で戦うシーンは少なく、大半が、イーストウッド対若手兵士たちとの対立、そして訓練、並びに、女に滅法苦手な主人公が、いかにして好きな女に告白するかといったような、人間ドラマ重視の映画に仕上がっていて、単純な戦争アクションものになっていない点が、いかにもイーストウッドらしい。

但し、市長就任後のイーストウッド映画にしては、興行的には今一パッとせず、内容からも、タカ派的作品とコキおろされたりしたようだが、この映画はあくまでも、そういった思想の問題ではなく、いかに、生きて、いかに戦うかをモチーフにした男のドラマである点が重要なポイントで、決して戦意高揚を目的とした映画ではないのは、映画観れば一目瞭然だ。

 

★うらばなし

イーストウッドの軍服姿が拝めるのは、『戦略大作戦』以来26年ぶりである。そのせいか、映画の中にも、実際に『戦略大作戦』のスチル写真が、主人公の経歴を示唆する場面で登場していた。

この映画から、徐々にイーストウッド映画(特に監督作としての)の毛色が変わってきていて、それはやはり、若者たちに対する老いた主人公という図式が、この映画から始まっているからである。還暦を前にして、徐々にその事を悟り始めたのかどうか、その辺りの経緯はよく分からないのだが、しかし、これ以降の映画では、悉く、若者たちに教えるイーストウッドの姿が見え始めて、本人もやはり、それを意識しているようなのは、興味深い点である。

 

★データ

テクニカラー/パナヴィジョン(レンズ&パナフレックス・カメラ)/ヴィスタ・サイズ/ドルビー・ステレオ/130分

日本公開:1987年31日(ワーナー配給)

アメリカ公開:1986年12月5日(WB配給)

 

              

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