アイガー・サンクション

The Eiger Sanction

                                                       

★アメリカ*マルパソ・カンパニー・フィルム=ユニヴァーサル映画 1975年度作品

 

スタッフ
監督■クリント・イーストウッド、製作■ロバート・デイリー、製作総指揮■リチャード・D・ザナック/デイヴィッド・ブラウン、脚色■ハル・ドレスナー/ウォーレン・B・マーフィー/ロッド・ワイテイカー、原作■トレヴァニアン、音楽■ジョン・ウィリアムス、撮影監督■フランク・スタンレー、編集■フェリス・ウェブスター

 

★キャスト

クリント・イーストウッド

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ジョナサン・ヘムロック

ジョージ・ケネディ

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ベン・ボウマン

ヴォネッタ・マギー

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ジェマイマ・ブラウン

ジャック・キャシディ

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マイルズ・メロウ

ハイジ・ブルール

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アンナ・モンテイン

セイヤー・デイヴィッド

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ドラゴン

レイナー・スコーン

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カール・フレイタグ

マイケル・グリム

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アンドア・メイヤー

ジャン=ピエール・ベルナール

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ジャン=ポール・モンテイン

ブレンダ・ヴェナス

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ジョージ

グレゴリー・ウォルコット

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ポープ

 

★おはなし
2度までもアイガーの岩壁に挑み、2度とも失敗している経験を持つジョナサン・ヘムロックは実はCIAの下部組織のスパイで、アイガーを昇りながら暗殺してくれと依頼されて、アイガー・サンクションを敢行する…というお話。

 

★ひとこと
イーストウッドの監督4作目で、トレヴァニンアンという覆面作家が書いたスパイ小説が原作。後に、原作ものをよく映画化していたイーストウッドの、これが実はその最初の作品。前半がスパイ・サスペンス、後半が山岳アクションと、見事二つに分かれてしまった問題作でもあるが、1本で2本楽しめると思えば、それもご愛敬か。当時、スパイ映画の大御所である“007シリーズ”が、機械や新兵器に頼ったお子様ランチ化していたのを皮肉るかの如く、ここでは、体を張ったスパイ戦術を見せてくれるイーストウッドの、ある意味、007パロディ版とも呼べる前半から、登山訓練のシーンを挟んで後半に展開される山岳アクションは、その後『007/ユア・アイズ・オンリー』『クリフハンガー』『バーティカル・リミット』と続く、この手のジャンルの先駆け的作品として十分に評価できる見事な映像で、それを、監督しながら主演して、しかも、実際にアイガー北壁への登攀に挑戦しているイーストウッドは、まさに天才と言えよう。この、後半の登山シーンだけを観るだけでも、この映画を観る価値があるというもの。

 

★うらばなし
別項でも述べた通り、この映画は、当初、ポール・ニューマン主演で予定されていたが、「危険過ぎる」という理由でニューマンは降板、その後を引き継いで、イーストウッドが主演した訳だが、その時の条件として、『ダーティハリー』の時と同様、監督にドン・シーゲルを指名したが、「君が標高3千フィート、僕が千フィートの所にいて、今からカメラを回すから、用意はいいかい、クリント?って、君に呼びかけるのかね」と、断られてしまった。結局、「オレが自分でやるしかない」と察知したイーストウッドは、これが4本目の監督作品となった訳で、もし、主演か、監督か、どちらかに専念していたら、もっと違う結果になったのではないかと思われるのだが、それはまた別の話。撮影中、実際に落下による人身事故が起き、死者まで出した、大変な撮影だったみたいだが、その苦労と努力は、映画のクライマックスからヒシヒシと伝わってきているのは事実だ。

 

★データ

テクニカラー/パナヴィジョン(フィルム)/スコープ・サイズ/125分(初公開版は118分)

日本公開:1975年11月1日(CIC配給)

アメリカ公開:1975年5月21日(Universal配給)

 

                      

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