イーストウッド

サントラの宿

 

ここでは、現在所有しているクリント・イーストウッド映画の

オリジナル・サウンドトラック盤をご紹介します。

 

アイガー・サンクション ダーティハリー 真夜中のサバナ
愛のそよ風 ダーティハリー2 マンハッタン無宿
アウトロー ダーティハリー3 ミスティック・リバー
荒鷲の要塞 ダーティハリー4(LP盤) ミリオンダラー・ベイビー
硫黄島からの手紙 ダーティハリー4(CD盤 目撃
インビクタス/負けざる者たち ダーティハリー5 奴らを高く吊るせ!(LP盤)
ガントレット ダーティファイター 奴らを高く吊るせ!(CD盤)
恐怖のロメディ ダーティファイター/燃えよ鉄拳 夕陽のガンマン
荒野の用心棒 父親たちの星条旗 夕陽のガンマン/完全版
荒野の用心棒/完全版 チェンジリング 許されざる者
ザ・シークレット・サービス バード
サンダーボルト 華やかな魔女たち 《オムニバス》
シティヒート パーフェクト・ワールド マカロニ・トリロジー・コレクション
スペースカウボーイ ピンク・キャデラック A Fistful of Music
センチメンタル・アドベンチャー ブロンコ・ビリー ベスト・オブ・クリント・イーストウッド
戦略大作戦 ペンチャー・ワゴン
続・夕陽のガンマン マディソン郡の橋
続・夕陽のガンマン/完全版 真昼の死闘

 


インビクタス/負けざる者たち Invictus 

音楽:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス

CD/2009/NEW LINE RECORDS/アメリカ盤

イーストウッドの2010年日本公開作。アメリカ本国では2009年に公開され、このサントラも早々に入手していたんですが、今回の日本公開に際して、ようやくアップする事が出来ました。映画を観る前は、なかなかイメージする事が出来ませんでしたが、映画を観た後だと、どの曲も脳裏に浮かぶ各シーンと共に、イイ感じに仕上がってるのが分かりますな。

今回の音楽は、御子息のカイル君と、長年、イーストウッド作品に関わってきたマイケル・スティーヴンスが共同で担当。今回の映画は実話をベースにしたドキュメント・ドラマという事もあり、イーストウッド映画には珍しく既製曲がふんだんに使用されており、このサントラも、全18曲中オリジナル・スコアは11曲で、親しみやすいテーマ曲や各人のキャラクターを反映させたスコア等、イメージ豊かな曲調ばかりなのが良く、特にテーマ曲は、いかにもイーストウッドが自分で作曲しそうなイメージの曲になっていて、親譲り的な感じに微笑んでしまいますな。あと、映画のエンディングにも流れる“World in Union '95”が効果的に使用されて、これがまた感動をより一層盛り上げてくれていますな。

ワーナー映画なのに、何故か別レーベルからリリースされているのは、既製曲との関連があるからでしょうか。いずれにしても、映画も最高なら音楽も最高で、前作の『グラン・トリノ』のサントラがリリースされなかった分、このサントラで大いに溜飲を下げて頂きたいものですな。


華やかな魔女たち Le Streghe 

音楽:ピエロ・ピッチョーニ

CD/2009/Digimovies/イタリア盤

遅まきながらリリースされたのが『華やかな魔女たち』のサントラ盤。イーストウッドがマカロニ3部作主演中の、『夕陽のガンマン』と『続・夕陽のガンマン』の狭間に出演したオムニバス作品で、なので43年ぶりにて初めてのリリースとなるサントラですな。公開当時、シングル盤のみ発売されていた事があり、そういう意味では初めてではないんですが、アルバムとしてのリリースはこれが世界初リリースとなります。

音楽は『ミネソタ無頼』や『華麗なる殺人』のピエロ・ピッチョーニが担当。因みに、映画は5つの話からなるオムニバスもので、ピエロ・ピッチョーニが受け持ったのは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の第1話と、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の第5話の2本のみ。他の3つのエピソードはエンニオ・モリコーネが担当してまして、つまりこのアルバムは、正式には『華やかな魔女たち』の第1話&第5話のサントラという事になる訳ですな。因みに、イーストウッドが出演しているのが、第5話になりますな。

イタリア製の艶笑コメディらしい軽快なメロディを基調としたスコアで、全32曲の内、ほとんどが2分以内という短い曲ばかりなのは、テーマ曲のメロディラインを様々にアレンジしたバリエーション曲が多い為で、いわば、蔵出し在庫総ざらいといった感じの内容になっております。インナージャケットには、イーストウッド絡みのスチルが満載の他、日本版を含む各国のポスター集も掲載されていて、約半世紀前の映画を偲ぶには雰囲気がバッチリだと思われますデス。1000枚のみの限定盤としてリリースされたものなので、お買い逃しの無きよう。


ダーティハリー5 The Dead Pool 

音楽:ラロ・シフリン

CD/2009/Aleph/アメリカ盤

遂に出ました、初のソフト化となるシリーズの第5作ですな。今まで一度もソフト化(海賊盤除く)された事がなかったので、待ちに待ったリリースというべき待望作であります。ここ数年は、1年1作ずつのリリースだっただけに、待ちくたびれた感はありましたが、待ってて良かったですな。今回もまたこのシリーズの常連ラロ・シフリンの担当ですが、1曲目にいきなり、例の“This Side of Forever”のインスト・バージョンが流れるのにはビックりしました。前作のエンディングに流れたものの別バージョンっぽいんですが、これは何故…? で、その次がタイトル・バックのテーマ曲で、今まで劇場やDVDでしか聴けなかったあのリズミカルなテーマ曲が聴けてホッとする訳ですが、このテーマ曲をモチーフにした曲は、あとは一切出て来ないんですな。むしろ、今までの作品の中で流れた曲に似通った曲が結構出てきて、どことなく今までボツになった曲ばかりを寄せ集めたかのような印象なんですな。確かにこの5作目、音楽のイメージがあまり印象に残っていないのも事実で、オープニングのテーマ曲以外、あまり目新しさが感じられなかったようでもあるんですな。シフリン自身も、テーマ曲以外に新曲を積極的に作らなかったのかな、と。そう思うとやはり、今までのボツ曲集というのも分かるような気がするんですが、果たしてどうなのでしょうか。映画のランタイムがシリーズで一番短かったのと同様、CDの収録時間も40分程度になっております。

チェンジリング  Changeling 

音楽:クリント・イーストウッド

CD/2008/Varese/アメリカ盤

イーストウッドの最新作。今回も監督オンリー作ですが、いつも通り、演出同様音楽も担当して気を吐いてくれています。一連のイーストウッド・スコアの流れという事で、今回もピアノの旋律を中心とした音作りになっていますが、それはメインテーマ部分のみで、大半は重厚なオーケストレーションで彩られていて、映画の内容に応じた、ミステリアスでサスペンスフルなスコアが随所に鳴り響いています。この辺り、もうベテランのコンポーザー的風格が感じられる訳で、立派な映画音楽作家ですな。映画には出演してませんが、インナー・ジャケットにはちゃんと登場しているのが、イーストウッドらしくて微笑ましいですな。日本公開はまだ先ですが、映画を観る前の予習として耳に入れておくのも一考かと思われます。

ダーティハリー4  Sudden Impact

音楽:ラロ・シフリン

CD/2008/Aleph/アメリカ盤

またまた出ました“ダーティハリー・シリーズ”のサントラCD。前作から1年ぶりのリリースとなった4作目は、勿論今回が初CD化。以前のアナログ盤LPの時に5曲と、あと、アンソロジー盤CDに7曲収録されていましたが、今回が初めて完全収録盤でのリリースであります。オープニングのタイトル曲から、シンセ・サウンドを聴かせてくれているのは、やはり時代の流れでしょうか。でも、その他のスコアには、結構劇伴に徹した曲も少なくなく、音楽だけを聴いていると、サイコ・サスペンス映画のような雰囲気が漂っていますな。残念ながら、映画のエンディングに流れたロバータ・フラックの唄う主題歌“This Side of Forever”は未収録で、これは恐らく権利関係の問題でしょうね。でも、作曲自体シフリンがやっているんだから、特別に収録してくれても良かったと思うのですが…。なので、その主題歌が収録されているアナログ盤LPが、まだ処分出来なくなってしまいましたね。さてお次は『5』ですが、これも来年なんでしょうか…。

ダーティハリー3  The Enforcer 

音楽:ジェリー・フィールディング

CD/2007/Aleph/アメリカ盤

劇場公開以来31年ぶりに正式にリリースされた“ダーティハリー・シリーズ”第3弾の完全収録サントラ盤。以前、4作目公開時にリリースされたベスト盤に3曲収録されていた事はありましたが、CD時代になってからはラロ・シフリン作品ではない為、ベスト盤からも削除されていた作品で、今ここに来て、シフリン主宰のレーベルから単独盤としてリリースされたのは、皮肉なものですな。

とにかく、待ちに待った待望のCD化でありまして、何より、映画の全スコアが聴けるのが嬉しいですな。しかも、以前の3曲共に、ロング・バージョンでの収録で、「ベスト盤」ではカット・バージョンで収録されていたのが分かって、ある意味新鮮ではありました。シリーズ初登板のジェリー・フィールディングは、前2作のシフリン節とは違い、思いっきり劇伴に徹した作りになっているのは改めて驚かされますな。メイン・タイトル曲にしたって、何とも掴みにくいメロディラインになっていて、そのタッチが全編に溢れておりますな。勿論、得意のジャジーな曲も健在で、特に“Rooftop Chase”の高揚感は大変なもの。ロング・バージョンになっている分、フィールディング・タッチが思う存分楽しめますデス。このジャジーな感覚が、次の『ガントレット』では、より完成されて、そして昇華される訳ですね。

全曲で約40分という、LP並みの短さなのは、作られた時代を考えると仕方ないですが、実際、映画の中でもそれぐらいの長さでしか流れていなかったので、まぁしょうがないですな。それでもちゃんとボーナス・トラックが収録されているのは嬉しく、特にラストバンドのエンディングに、フィールディングらしき人の肉声が入っちゃってるのが貴重ですな。あと、ライナーノートにハリー・キャラハンの相棒の女刑事ムーアを演じたタイン・デイリー嬢の当時を振り返ったコメントが記載されているのも、一読の価値有りではあります。


奴らを高く吊るせ!  Hang 'em High 

音楽:ドミニク・フロンティア

CD/2007/La-La-Land/アメリカ盤

イーストウッドがアメリカに凱旋した本国復帰第1作の、嬉しい初CD化。もっとも、他作品とのカップリング盤は出ていましたが、全曲完全収録盤としては、今回が初めてのCD化になります。

映画の内容にも、マカロニの影響が色濃く残るのと同様、音楽にも同じ事が言え、多少マカロニの雰囲気を残した感じのスコアになっている辺りは、時代を感じさせますな。また、音楽に際しての予算もあまり計上されなかったのか、編成もごく少数になっているのが、昨今のサントラとは違っていますが、映画の殺伐とした内容に、妙に合ってるとも言えて、これはこれで味わいがありますな。

今回のCD盤、以前リリースされていたアナログLPと、全く同様の内容・収録曲で、ジャケット以外、別に変更点はありませんが、本作品だけでは寂しいと思われたのか、同じドミニク・フロンティアが担当した『アビエーター』(本邦未公開作品…スコセッシ作品『アビエイター』とは別物)のスコアも収録されていて、意外にもコチラの音楽も良かったりするんですよねぇ(笑)。


硫黄島からの手紙  Letters From Iwo Jima 

音楽:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス

CD/2006/MILAN/アメリカ盤

イーストウッド監督による“硫黄島2部作”の第2弾。前作に続いてイーストウッド自身が音楽を担当している…のかと思いきや、今回はご子息のカイル君の担当(マイケル・スティーヴンスと共同)であったのには驚き。『ミスティック・リバー』以来、監督作品には自身のスコアリングを披露していた所、今回初めて、別の担当者になった。まぁ、短期間で2本続けてというのは、シンドいという事もあるでしょうし、タマにはカイル君にもチャンスを与えてあげようという“親心”だったのかも知れませんが…。

父親同様、ピアノを中心とした音作りで、印象的なテーマ曲をバリエーションを変えて積み重ねていくという映画音楽としてはオーソドックスな仕様で、本格的な映画音楽担当にしては、なかなか大したもの。作品自体のテーマもそうですが、音楽の印象度としては、コチラの方がインパクトが強いかも知れませんね。

全曲で37分程の、最近のサントラにしては短いですが、映画の中では、同じテーマが繰り返し流れていたようですな。あと、劇中、ラジオから流れていた「硫黄島応援歌」が収録されている辺りに、律儀さを感じました。この辺も父親譲りというか、父親自身がプロデュースしているから、当然でしょうか。あと、戦闘や自決シーンに流れる曲が、テーマ曲とは正反対のオドロオドロしい曲調になっているのも驚きで、さらに、それらの曲をサラウンド・プロセッサーを通してよ〜く聴いていると、リア・スピーカーからノイズっぽい音が聴こえてきて、それが恐ろしいの何の。これは意図された事なのか、単なる録音時のノイズなのか、それとも…!? 夜、一人では聴けない恐ろしい曲である事は間違いないですな。一度、お試し下さいませ。


父親たちの星条旗  Flags of Our Fathers 

音楽:クリント・イーストウッド

CD/2006/MILAN/アメリカ盤

イーストウッド監督による“硫黄島2部作”の、まずは第1弾。例によってここ何作かの作品同様、今回も御大直々に音楽を担当。コンポーザーとしての腕も、まさに一流の域に達した感のある力の入ったスコアを提供しており、戦争映画である前に、まずは人間ドラマである事を強調するかのような、“感動的”なテーマ曲が実に印象的な仕上がりですな。

従来のイーストウッド作曲作品との違いは、今回は、既成曲とのコラボレーション、つまり、コンピ盤になっている事。20曲中、半分がクラシックを始めとする既成曲が収録されていて、そういう意味では、実質的なスコアが聴けるのが少ない気もしますが、こういった形になったのも、おそらく、この映画のストーリーが実話を元にしているからなんでしょうね。つまり、リアリティを出す為には、ある程度の既成曲が必要だったという事。この辺りは、何でもカンでも、流行の曲をバックに流しておけば良いという、ありきたりなコンピ盤との絶対的な違いであると言え、今後のサントラに対する問いかけがされているように思われます。

あと、既成曲の中に、ご子息のカイル君が演奏するジャズが入っていたり、あと、『ブロンコ・ビリー』でも流れたあの曲が入っていたりする辺りは、ナンか微笑ましい気もしますな。何はともあれ、必聴の1枚である事は間違いありませんです。それと、第2弾も楽しみですな。

それと! これは声を大にして言っておきたい事ですが、ラストの曲が終わっても、すぐに「終わった」と思って、CDプレーヤーの電源を決してオフにしない事! 何故かというと、その後に、アッと驚くサプライズが起きるからです。ナンというか、これは、まさに“父親たちに送るイーストウッドからの手紙”なんですな。絶対に、お聴き逃しのないように!


荒野の用心棒《完全版》  Per Un Pugno Di Dollari

音楽:エンニオ・モリコーネ

CD/2006/GDM/イタリア盤

イーストウッドの主演第1作であると共に、マカロニ・ウエスタンの金字塔的名作『荒野の用心棒』のサントラが、40年の時を経て完全版で蘇りました。今までリリースされていたどのバージョン(主に7曲、若しくは8曲入り)よりも曲数が多く収録されたコンプリート盤。全17曲の内、当然ながら、9曲は今回が初収録となってます。既収録曲がステレオで、初収録曲がモノラルになっている所から、恐らく音源はシネテープから取ったものだと思われますが、それでも、今まで劇場やビデオやDVDでしか聴けなかった数々の曲が、CDで手軽に聴けるのが感涙モノですね。デジパック仕様(蓋の部分に磁石が埋め込まれていて、開いた状態にならない所がグー!)で、盤面はピクチャー・ディスク、そしてディスク装着面には、今までリリースされていた日本盤やアメリカ盤、イタリア盤等のサントラ・シングル&LPのジャケットがコラージュされたデザインになっている他、封入されている12ページのカラーブックレットには、イーストウッドをメインとした名場面スチルの数々に加えて、各国のポスターがズラリと掲載されているという豪華さ。モリコーネの素敵な音楽を聴きながら、このブックレットを眺めていると、雰囲気は完全に、マカロニ・ウエスタンの世界にドップリですなぁ。下記で紹介している“夕陽のガンマン2部作”の完全版と合わせて、ファンなら是非ともゲットしておくべきアイテムだと思われます。

荒野の用心棒 A Fistful of Dollars

音楽:エンニオ・モリコーネ

 CD/1998/Razor & Tie/アメリカ盤

 

 

言わずと知れたイーストウッドの主演第1作。セルジオ・レオーネ監督、エンニオ・モリコーネ音楽の黄金トリオによる記念すべき第1弾でもある。映画は『用心棒』のパクリですが、音楽は勿論オリジナル。まだ無名だったモリコーネが、既に名人芸の域に。収録曲は8曲で、8曲目は、それまでの7曲を組曲として編集・演奏したものになっている。

夕陽のガンマン For A Few Dollars More

音楽:エンニオ・モリコーネ

 CD/19??/ビクター/日本盤(左)

 CD/1999/BMG/イタリア盤(右)

マカロニ・トリロジーの第2弾。モリコーネの音楽も少し贅沢になり、楽器の種類も豊富になった。曲数が7曲と少ないせいか、日本盤やイタリア盤では、『荒野の用心棒』とのカップリングになっている。テーマ曲が『荒野の用心棒』の「さすらいの口笛」と似ていて、一瞬にして聴き分ける事が出来たら、立派なイーストウッド・フリークである。

夕陽のガンマン 《完全版》 For A Few Dollars More

音楽:エンニオ・モリコーネ 

 CD/2003/BMG/イタリア盤

そして出ました完全版サントラ。上記の通常版に比べ、14曲も多く収録された、文字通りの「エクスパンデッド・エディション」。いきなり、主人公のハミング&馬の嘶き&銃声という、本編と同じバージョンのテーマ曲が鳴り響き、臨場感満点。勿論、テーマ曲の間中、銃声は鳴り響いています。その他、追加されている曲は、効果音が満載された曲ばかりで、たったの7曲しか収録されておらず、物足りなかった通常版の鬱憤を、これで一気に吹き飛ばす事が出来るでしょう。(コチラに詳しいレビュー有り)

A Fistful of Music(一握りの音楽)

音楽:エンニオ・モリコーネ 

 CD/1999/BMG/イギリス盤

CDのタイトルは“一握り”ですが、実際は、『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』そして『ウエスタン』の3本のマカロニ作品が収録された“いっぱい”のサントラであります。2枚組で、1枚目が『荒野の用心棒』と『夕陽のガンマン』というお馴染みのカップリング、そして2枚目に『ウエスタン』が収録されているというデラックス盤。勿論全てサントラで、これ1枚あれば、取り敢えずモリコーネ節は堪能できるというもの。(コチラに詳しいレビュー有り)

続夕陽のガンマン/地獄の決斗 

The Good, the Bad And the Ugly

音楽:エンニオ・モリコーネ

 CD/1985/Capitol/アメリカ盤(左)

 CD/1995/Vivimusica/イタリア盤(右)

マカロニ・トリロジーの最終作。よりダイナミックになったスコアが、映画のスケールを感じさせるモリコーネ節の傑作。左は、日本盤でもお馴染みのアメリカ盤で、右が、同じモリコーネ作曲のマカロニ・ウエスタン『復讐のガンマン』(リー・ヴァン・クリーフ主演)とのカップリング盤。

続夕陽のガンマン/地獄の決斗 《完全版》 

The Good, the Bad And the Ugly

音楽:エンニオ・モリコーネ

 CD/2001/BMG/イタリア盤

『夕陽のガンマン』と同じく、この作品も“完全版”がリリースされています。尤も、リリースされたのはコチラの方が先でしたが。今までの通常版には収録されていなかった曲が入っているという点では、効果音等で誤魔化されている(?)『夕陽のガンマン』と違って、こちらの方が本当の“完全版”と言えるでしょう。やはり、映画が長かった分だけ、音楽も多数作られていたようで、映画の雰囲気を再現するにはピッタリと言えるアイテムでしょう。(コチラに詳しいレビュー有り)

マカロニ・トリロジー・コレクション

音楽:エンニオ・モリコーネ 

 CD/2003/BMG/イタリア盤

いきなりリリースされたCD。『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』というマカロニ3部作が一挙に収録された、まさにお徳用盤。3作とも、通常盤からカットされた曲は無く(『荒野の用心棒』の組曲は除く)、通常盤の3枚が1枚に集約された、実にリーズナブルな1枚。CDを保管するスペースの無い方には、お薦めの1枚であります。

奴らを高く吊るせ! Hang 'em High

音楽:ドミニク・フロンティア 

 LP/1982/すみや/日本盤(左)

 CD/1990/MGM(EMI)/イギリス盤(右)

イーストウッドがハリウッドに凱旋した第1作。少しマカロニ臭が残っている西部劇で、イーストウッド演じる主人公も、“一度死んだ人間”という、重要なモチーフ。ドミニク・フロンティアの音楽は、映画のテーマと比べるとちょっと軽い感じですが、メロディラインが親しみ易いのが良いです。左のLPは、サントラ・ショップすみやで復刻されたサントラ盤で、ジャケットがオリジナルと同じものになっている点が拘りを感じさせます。単独でのCDは出ておらず、右の『大西部への道』『インディアン狩り』との3作収録のコンピレーション盤や、他にも『サンセバスチャンの攻防』(音楽:エンニオ・モリコーネ)とのカップリング盤も出ている。

マンハッタン無宿 Coogans' Bluff

音楽:ラロ・シフリン

 LP/1980/?/アメリカ盤

ドン・シーゲルとの初のコラボレーションを生んだ“プレ・ダーティハリー映画”。音楽もラロ・シフリンなので、より一層、ダーテイハリーのルーツと言えそうな雰囲気。未だに正式なサントラはリリースされておらず、このアナログLPが唯一のサントラ音源。プライベート盤(ブートレグ盤)として出回ったもので、日本でも輸入レコード店で入手可能だった。A面が『マンハッタン無宿』で、B面が『大いなる西部』というカップリング盤になっているが、その理由は、やはり、収録曲が少なかったからのようだ。取り敢えず、ラロ・シフリン独自のレーベルからでも良いから、正規のサントラCDをリリースして欲しいものである。

荒鷲の要塞 Where Eagles Dare

音楽:ロン・グッドウィン

 LP/1969/MGM/アメリカ盤(左)

 LP/1969/MGM/イギリス盤(右)

 CD/?/MGM/イギリス盤(左)

 CD/2000/ChapterV/アメリカ盤(右)

 CD/2004/FSM/アメリカ盤

イーストウッド初の戦争映画。音楽は、『空軍大戦略』等の戦争映画でお馴染みのロン・グッドウィンが担当。オープニングの雄大な自然を想起させるスケールの大きな曲を中心に、小気味良いアクション・サウンドで仕上げた傑作。アナログ盤時代には、英米合わせて計3種類のサントラLPが出ていた。どれもジャケットが違うのが特長。また、CDになってからも2種類出ているが、2段目左の『633爆撃隊』(同じくロン・グッドウィン)とのカップリング盤は、通常盤よりも曲数が少なく収録されている。その右のアメリカ盤は、サントラ業から撤退&消滅した幻のCHAPTERVレーベル盤。アメリカ・アナログ盤ジャケットを元にしているが、デザインの関係で、イーストウッドの顔が隠れてしまっているのが難点。

3段目のCDは、最近リリースされたFSM盤で、同じく戦争スパイ映画『クロスボー作戦』とのカップリングになっているものの、何と『荒鷲の要塞』は、完全版での収録というファン待望のマニアック仕様! 曲数が多過ぎて、1枚に収まりきれなかったとみえて、2枚組になっている(ディスク2の「クロスボー作戦」にまで曲がハミダしている!)のも凄い。3000枚のみの限定版でのリリースなので、是非、ゲットするように!(コチラに詳しいレビュー有り)


ペンチャー・ワゴン Pain Your Wagon

音楽:フレデリック・ロー&ネルソン・リドル

 LP/1969/EMI/イギリス盤(左)

 CD//MCA/アメリカ盤(右)

イーストウッド初のミュージカル映画。ブロードウェイでヒットした作品の映画化で、イーストウッドは劇中3曲を唄い、渋い声を披露した。当然、サントラにも収録されていて、歌手・イーストウッドの片鱗を感じる事が出来る1枚。

戦略大作戦 Kelly's Heroes

音楽:ラロ・シフリン

 LP/1970/MGM/アメリカ盤(左)

 CD/2000/ChapterV/アメリカ盤(右)

CD/2005/FSM/アメリカ盤 

『荒鷲の要塞』のブライアン・G・ハットン監督とのコンビ第2作で、またも戦争もの。今回は、犯罪コメディ調の戦争映画で、ラロ・シフリンの音楽もどこかオフザケ調になっているのが面白い。「リパブリック賛歌」や「線路は続くよどこまでも」等の既成曲を織り込みながら、時にはジャズ調に、時には軽やかにと、様々なサウンドが登場するシフリン・サウンドの傑作の1本(1枚)である。ハンク・ウィリアムスの挿入歌や、マイク・カーブ・シンガーズの主題歌もグーでヨロシイ。上段右は、アッという間に廃盤となったCDで、同じラロ・シフリンの『シンシナティ・キッド』とのカップリング盤というお徳用盤。因みに、『シンシナティ・キッド』も、後にシフリン主宰のアレフ・レーベルより、単独で完全版がリリースされた。

下段は、今年になってFSMレーベルからリリースされた完全盤CD。『荒鷲の要塞』に続く快挙が嬉しいですが、完全版というのも泣かせますね。消滅したCHAPTER V盤を入手出来なかった人には、まさに朗報ですな。従来のレコード・バージョン(CHAPTER V盤と同じ)もしっかり収録されているのも嬉しく、今回初収録となるモニク・アルデバートの挿入歌も入っている点もレア。これも限定盤なので、お求めはお早めに。(コチラに詳しいレビュー有り)


真昼の死闘 Two Mules For Sister Sara

音楽:エンニオ・モリコーネ

 LP/1970/MCA/アメリカ盤(左)

 CD/1994/INTERMEZZO/イタリア盤(右)

ドン・シーゲルとのコラボレート第2作。今回は西部劇で、音楽に『続夕陽のガンマン』以来久々にエンニオ・モリコーネを起用。なので、曲調もマカロニを意識したような感じになっていて、映画同様、ちょっとオフザケ調になっている。西部劇でイーストウッド=モリコーネ・コンビの映画はこれが最後なので、そういう意味では貴重な作品。右のイタリア盤CDは、同じくモリコーネが担当した『天国の日々』(テレンス・マリック監督)とのカップリング盤になっている。

恐怖のメロディ Play Misty For Me

「ベスト・オブ・ロバータ・フラック」

音楽:ディー・バートン

 CD/1981/ATLANTIC/アメリカ盤

イーストウッドの記念すべき初監督作品。イーストウッドがラジオ局のDJに扮しているだけあり、タイトルのモチーフになっているエロール・ガーナーの名曲「ミスティ」を始め、全編ジャズのオンパレードであるが、恋人との海岸でのラヴ・シーンのバックに流れるのが唯一のボーカル曲「The First Time Ever I Saw Your Face」で、唄っているのはロバータ・フラック。

で、ここでご紹介しているのは、そのロバータ・フラックのベスト・アルバムで、7曲目にそれを収録。これもいわば立派なサントラ盤である。他のジャズ曲が全て既成の曲ばかりなので、1枚のアルバムにするのは難しいと思われるが、取り敢えず、この映画の主題歌を聴きたい人は、このアルバムをお薦めします。

因みに、1曲目に収録されている「Killing Me Softly With His Song」は、日本ではネスカフェのCMソングとしても有名ですが、実は、ポール・ニューマン主演の『新・動く標的』のテーマ曲でもあります。(本編ではインスト曲を使用)なので、このCDで2作品のサントラを代用出来る訳です。


ダーティハリー Dirty Harry

「ザッツ・サウンドトラック!」

 LP/1978/WB/ブラジル盤 

「ダーティハリー・アンソロジー」

 CD/1998/Aleph/アメリカ盤(左)

 CD/2001/Aleph/フランス盤(右)

音楽:ラロ・シフリン

 CD/2004/Aleph/アメリカ盤

シーゲル&イーストウッドのコラボレート第4弾(『白い肌の異常な夜』のサントラはリリースされていない)にして、その最高傑作。音楽は、またまたラロ・シフリン。シフリンのアクション・サウンドとしても、『ブリット』『燃えよドラゴン』と並ぶ3大傑作の1本である。そんな傑作スコアでありながら、劇場公開時にはサントラはリリースされず、1983年に『ダーティハリー4』が公開された時に、「ベスト・オブ・ダーティハリー」(サイド1が『ダーティハリー4』のサントラで、サイド2が『1』〜『3』のサントラ集)としてリリースされて初めてサントラ化された。

と、思いきや、実はそれ以前に、ブラジルのワーナー・レコードからリリースされた「ザッツ・サウンドトラック!というオムニバスものに、『ダーティハリー』のメイン・テーマが収録されたのが一番最初である。しかも、「ベスト・オブ・ダーティハリー」も、そして後のCD盤「ダーティハリー・アンソロジー」も、ハリー・キャラハン(イーストウッド)のブラッフ(セリフ)が入ったバージョンだが、そのブラジル・オムニバス盤は、セリフこそ入っていないものの、曲の長さは一番長く、劇場版で流れたオリジナル曲に一番近いバージョンになっていて、そういう意味ではメチャクチャ貴重である。セリフ入りバージョンは、途中の変調部分が、何故か短く編集&カットされていて、オリジナルのファンからすれば、凄く物足りないのだが、ラロ・シフリンのレーベルから出ているCD盤も同じようになっているのは何故なんだろうか…。

因みに、アメリカ盤とフランス盤ではジャケットのデザインが違っており、イーストウッドの写真がふんだんに使用されているフランス盤の方が、遙かに良い。また、フランス盤には、ポスター付きのインナースリーブも封入されていて、値段は少々高いものの、絶対にコッチの方がお買い得だと思います。(曲順も、フランス盤は、作品毎に配列されている)

もう一つ因みに、「ベスト・オブ・ダーティハリー」に収録されていた『ダーティハリー3』のスコアは、ジェリー・フィールディングが作曲している関係上、これらのCD盤には収録されていない。でも、「ベスト・オブ〜」には未収録だった『1』と『2』そして『4』のスコアが多数収録されているのは嬉しいところ。もう一つ因みに(因んでばかりですみません…)、「ベスト・オブ〜」に収録されていた『4』のエンディング曲(ロバータ・フラックが唄った主題歌)は、権利関係の為、インストゥルメンタルのみ収録されている。

一番下の1枚は、2004年、遂にリリースされた完全版サントラ。初の単独盤でのリリースである。それまで、「アンソロジー」に収録されていた従来曲以外にも、初めて収録された曲もあり、映画で使用された順に並べられている事もあって、まさに“ダーティハリー・ワールド”を音で体感するには持ってこいの1枚。しかも、例のテーマ曲はロング・バージョンになっているので、もう言う事ナシですな。今後も、シリーズ各作品が、単独盤でリリースされるという情報もあるので、期待したいところですな。


愛のそよ風 Bleezy

音楽:ミシェル・ルグラン

 LP/1973/MCA/アメリカ盤

イーストウッド監督の第3作(第1作『恐怖のメロディ』、並びに第2作『荒野のストレンジャー』のサントラはリリースされていない)で、初の監督オンリー作。音楽は、フランス映画界の才人ミシェル・ルグランで、得意なリリカルなサウンドを提供している。ルグランも元々はジャズ畑出身なので、ラロ・シフリンと同様の経歴なところをみると、この辺りにイーストウッドのジャズ好きなセンスも垣間見れるのも、面白いものである。因みに、CDはリリースされておらず、このLPも廃盤なので、今となっては貴重な1枚である。

ダーティハリー2 Magnum Force 

音楽:ラロ・シフリン

 CD/2005/Aleph/アメリカ盤

 

劇場公開以来32年ぶりにリリースされた初サントラ。ラロ・シフリン主宰のレーベルからの待望のリリースで、1作目同様、数曲以外は今回が初のソフト化である。映画をご覧になればお分かりのように、どちらかというと、前作の曲を再使用&アレンジして使用している感が強く、強烈なインパクトを残すテーマ曲以外は、何処かで聴いた事のある曲になっている。ま、当時のシフリンの多忙ぶりを伺わせるものがありますな。そのせいか、収録数は前作より少なく、未使用曲やボーナス・トラック等は、収録されていない。この勢いで、「3」「4」「5」と、リリースして欲しいものである。(コチラに詳しいレビュー有り)

サンダーボルト Thunderbolt And Lightfoot

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽:ディー・バートン

 CD/2006/?/アメリカ盤

 

「故郷への道を教えて」EP/1974/キング/日本盤 「Life Goes On」CD/2006/ECO/イギリス盤

マイケル・チミノ監督とイーストウッドの最初にして最後(?)のコラボレート作品。今から思えと、チミノ映画では、これが一番出来が良かったような…。音楽は『恐怖のメロディ』に続いてディー・バートンが担当、舞台となるアメリカ南西部を思い描いたようなカントリー調のスコアが流れる訳ですが、その最後を飾るのが、ポール・ウィリアムスが唄う「故郷への道を教えて」で、感動的なラスト・シーンを大いに盛り上げてくれておりました。日本では公開当時、ウィリアムスの主題歌のみシングル盤がリリースされていましたが、正式なサントラ・リリースはありませんでしたな。で、その主題歌は、ウィリアムスのセカンド・アルバム「Life Goes On」に収録されていましたが、LP&CD共に長らく廃盤になっていて、なかなか聴けずにイライラしていたところ、この程、イギリスで再リリースされたようですので、一安心ですな。(アルバムの5曲目に収録。因みに、他の曲にもイイのがあります)

因みに上記は、アメリカの某氏がプライベート盤としてリリースしたブート盤。ポール・ウィリアムスの主題歌(映画版とオリジナル版の2バージョン)に加え、初めて劇中のスコアがソフト化されている訳ですが、元々劇中に流れる音楽が極端に少ないので、トータル時間で10分足らずというもの。これじゃあ正式にサントラ盤がリリースされないのは分かりそうなものですな。ほとんどが車で移動するシーンに流れたカントリー風の曲ばかりで、スコアのみは7曲で、それぞれが1分弱の超短いものばかり…。


アイガー・サンクション The Eiger Sanction

音楽:ジョン・ウィリアムス

 CD/1973/Varese Sarabande/アメリカ盤

イーストウッド監督第4作目の山岳スパイ・アクション。音楽は、当時『大地震』『タワーリング・インフェルノ』『ジョーズ』と、パニック路線で売れ始めたジョン・ウィリアムスで、今のところ、ウィリアムスのイーストウッド映画はこれだけという、ある意味貴重な作品。どちらかというと、ウィリアムスのジャジーな感覚をより強調したスコアになっていて、さすがジャズ・マニアのイーストウッドだけあり、この選択は正解だったと言えよう。映画が多少なりとも中途半端に仕上がっているものの、ウィリアムスの音楽は、忙しい中で引き受けたにしては、快調そのもの。舞台のヨーロッパを意識した、クールな仕上がりになっている傑作である。

アウトロー The Outlaw Josey Wales

音楽:ジェリー・フィールディング

 LP/1976/WARNER/アメリカ盤

『荒野のストレンジャー』以来のイーストウッド監督によるウエスタン。今回は、前作と違い、正統派西部劇を志した関係で、音楽の方も派手になった。担当したジェリー・フィールディングは、サム・ペキンパー監督とコンビが多かったコンポーザーで、この辺り、ドン・シーゲルとペキンパーとの師弟関係の事を考えると、イーストウッドとペキンパーが、シーゲルの兄弟弟子という位置取りになるのが、面白いところ。フィールディングの得意とする打楽器を中心とした音作りが秀逸で、映画のダイナミックさとリズム感を、大いに盛り上げる効果を上げた。未だに正式にCD化されていないサントラだが、フィールティングの遺族のみに配布されたというプライベート盤(収録曲が多い完全版)として存在している模様。是非とも、正式にリリースして欲しいものである。

ガントレット The Gauntlet

音楽:ジェリー・フィールディング

 LP/1977/WARNER/アメリカ盤(左)

CD/2001/WARNER/フランス盤(右)

最初は“『ダーティハリー』を越える刑事アクション”という触れ込みだったが、実際観てみると、情けない刑事のロードムービー形式のラブ・ストーリーだったという、なかなか味わい深い男泣きアクション映画でした。『アウトロー』『ダーティハリー3』に続いて、ジェリー・フィールディングが音楽を担当し、今回は、得意のジャズ・サウンドを思いっきりカッ飛ばした大傑作になっているのが素晴らしいところ。ジョン・ファディスとアート・ペッパーという、二人の名ジャズメンを起用した事も大成功で、サントラとしてだけでなく、ジャズ盤としても十分視聴に耐えうる名盤になっている。フラゼッタが描いたLPジャケットも最高で、映画最高、音楽最高、サントラ最高という、近来希にみる超傑作になっている点も見逃せない。一応、CD化されているが、以前のアナログ盤のデザインがジャケットに使われていない(版権問題か…!?)のは残念だが、フランスのワーナーから出たCDの折り込みジャケットを広げると、裏面がフラゼッタ版ポスターになっているのが良い。

ダーティファイター Every Which Way But Loose

音楽:スティーヴ・ドーフ

 LP/1978/WARNER/日本盤

イーストウッドがコメディ路線に転向と言われた作品。尤も、切ない男泣きコメディではあったのだが…。音楽は基本的にオリジナル&既成のカントリー・ミュージックを使用した、いわゆるコンピ・アルバムになっているのだが、最近の同種の物と違い、全て映画の中で流れたサントラになっている点が良い所。当然ながら、歌手役のソンドラ・ロックも2曲ほど唄を披露している(あまり上手くないけど…笑)。エディ・ラビットが唄う主題歌「エヴリー・ウィッチ・ウェイ」はアメリカで大ヒット。スコア曲(暴走族ブラック・ウィドーのテーマとか)も何曲か収録されているが、一番短い「イーストウッド・オン・ウォーク」という曲が、『続・夕陽のガンマン』のフレーズに似ていて(というより、そのまんまなのだが)面白い。

ブロンコ・ビリー Bronco Billy

音楽:スティーヴ・ドーフ

 LP/1980/WARNER/アメリカ盤

イーストウッドのコメディ路線第2弾。音楽の構成は『ダーティファイター』同様の作りになっていて、御大イーストウッドも1曲ノドを披露している当時としては貴重な1枚。マリー・ミルサップが唄う主題歌「カウボーイと道化師」が傑作で、映画のテーマそのものを唄った内容になっているのに感激。また、エンディングに流れる「ブロンコ・ビリー」も最高で、映画も最高ならサントラも最高という、これを至福の瞬間と言うべきか。一座の出し物のバックに流れる「星条旗よ永遠なり」が、御大のイメージにピッタリ。

ダーティファイター/燃えよ鉄拳 Any Which Way You Can

音楽:スティーヴ・ドーフ

 LP/1980/WARNER/アメリカ盤

前作と、ほぼ同じスタッフ・キャストで作られた続編で、音楽の構成も似たようなものになっています。面白いのは、これの前の『ブロンコ・ビリー』で、ちょっとだけ歌声を披露した御大が、コチラでは、タイトル・バック曲「ビールで乾杯!」にて、レイ・チャールズとデュオしている所である。その為、映画のタイトル曲であるグレン・キャンベルが唄う“Any Which Way You Can”が、本編の(アルバムでも)中盤に位置してしまっていました。でも、キャンベルの曲も、哀愁を帯びていてなかなかの名曲ですね。

センチメンタル アドベンチャー Honkytonk Man

音楽:スティーヴ・ドーフ

 LP/1983/WARNER/アメリカ盤

そしてさらに御大は唄う…。今回は歌手(志望のオッサン)の役。なので、全編、歌いまくります。このアルバム自体が、御大のソロ・アルバムみたいですな。といっても、他の人が唄う曲も入っているのですが…。しかし、メロウな感じの歌いっぷりは本職はだしで、なかなか大したものでありまする。メイン曲でもあり、映画の感動的なラストに流れた「ホンキートンク・マン」は、映画本編では、途中からマーティ・ロビンス(『北国の帝王』の主題歌!)が替わって唄いますが、アルバムでは、全て御大の歌になっております。

ダーティハリー4 Sudden Impact

音楽:ラロ・シフリン

 LP/1983/WARNER/アメリカ盤

“ダーティハリー・シリーズ”初のサントラ盤として名高い貴重盤であります。今でこそ、シリーズのサントラはCD化(1作目は単独盤でもリリースされた!)されておりますが、この映画が公開された頃は、全くサントラ音源化されておらず(特に2作目・3作目は…)、シリーズ4作が一挙に収録されたこのLPは、ファンにとっては待望のサントラ盤でありました。特にジェリー・フィールディングが担当した「3」のサントラは、今でもCD化されていないので、貴重なスコアになっています。

シティヒート City Heat 

音楽:レニー・ニーハウス

 LP/1984/WARNER/アメリカ盤

この後長らくコンビを組み続ける事になるレニー・ニーハウスとの初コラボレーション作品。映画の方は、当時ライバル視されていたバート・レイノルズとの初共演という事も話題でしたが、それが先に立って、内容はイマイチ…というのがちょっと難ですが、殊音楽に関して言えば、御大のピアノ演奏も聴けるし、懐かしのジャズ・サウンドも流れるという事もあり、かなり賑やかな内容になっております。歌手であるアイリーン・キャラが、1曲も唄っていないというのも、面白いものですね。

バード Bird 

音楽:チャーリー・パーカー

 CD/1988/WARNER/日本盤

イーストウッドが『愛のそよ風』以来15年ぶりに監督のみに徹した入魂の1作。敬愛するジャズ・ミュージシャン、チャーリー・パーカーの半生を描いた2時間半を越える大作は、実際にチャーリーの演奏した曲と、現代の演奏とをデジタル・シンクロさせるという神業(アカデミー賞録音賞受賞)の甲斐もあり、伝記映画としての名作に仕上がった。当然ながら、このサントラは、映画に流れた(登場した)パーカーの名曲のオンパレードとなっていて、当時のモノラル録音が最新技術によって、臨場感とプレゼンス溢れるステレオで再現される様はまさにお見事! サントラとしても、ジャズ・アルバムとしても、超A級のアルバムに仕上がっております。筆者も含めて、これを聴いてパーカー・ファン、ジャズ・マニアになったという方も大勢いる筈ですね。

ピンク・キャデラック Pink Cadillac 

音楽:スティーヴ・ドーフ

 CD/1989/WARNER/日本盤

 

前作の入魂作『バード』に疲れ果てたイーストウッドが、気分転換に出演した軽いタッチのコメディ・アクションで、映画の内容と同様、サントラの方も、『ダーティファイター』系列のカントリー曲アンソロジーの作りになった。スコア曲なしのコンピ盤ですが、タイトルのモチーフになっているプレスリーの曲は何故か収録されていない。というか…、映画にも出て来ない訳ですが…。因みに2曲目の“There's Tear In My Beer”を唄っているハンク・ウィリアムス・ジュニア(&シニア)は、『戦略大作戦』以来、ほぼ20年ぶりのイーストウッド映画への参戦である。

許されざる者  Unforgiven 

音楽:レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド

 CD/1992/WARNER/日本盤

 

イーストウッド映画初のオスカー受賞作。最後の西部劇と銘打たれた本作は、イーストウッドのそれまでの西部劇の集大成であると同時に、全てのイーストウッド映画が集約された珠玉の名作になっている。そして音楽も、映画同様素晴らしく、特にイーストウッド自ら作曲した「クロウディアのテーマ」は、何度聴いても涙腺を濡らさずにはいられない感涙の名曲! 出来れば、音楽でもオスカーを獲って欲しかった…。

ザ・シークレット・サービス  In the Line of fire 

音楽:エンニオ・モリコーネ

 CD/1993/CBSソニー/日本盤

 

イーストウッドが久々に他監督(+他映画会社)作品に出演した映画で、音楽もいつものニーハウスから、『真昼の死闘』以来22年ぶりにエンニオ・モリコーネが担当。サスペンス・フルなスコアを提供して、ハラハラ・ドキドキの映画のストーリーを大いに盛り上げている。映画を観ている時は、あまり感じなかったけれど、実際にサントラ盤で音楽だけを聴いてみると、アンダー・スコアに徹したモリコーネのプロフェッショナルぶりが伺えて、なかなかに充実したアルバムになっているのが分かる。全体的にスリリングなサウンドばかりの中、リリー(レネ・ルッソ)との絡みのシーンに流れる曲は、一種の清涼剤のような役割を果たしているのも面白い。

パーフェクト ワールド Perfect World 

音楽:レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド

 CD/1993/WARNER/日本盤

 

イーストウッドとケヴィン・コスナーが初共演した話題作。映画が60年代初頭を舞台としている関係上、劇中に流れる歌曲も、全て50年代後半から60年代に流行したカントリー&ウエスタンが中心で構成されている。本サントラは、それらの歌曲に加えて、ニーハウス作曲によるスコア曲も収録されているが、特筆すべきは、イーストウッド本人が作曲した「ビッグ・フランツ・ベイビー」という曲。エンディングに流れるオーケストレーション・バージョンが、映画を締めくくるに十分な雄大さを伴っていて、映画の感動をさらに盛り上げているのはさすがである。因みに、4曲目に収録の「ドント・ウォーリー」を唄っているのは、『センチメンタル・アドベンチャー』で御大のバックを務めていたマーティ・ロビンスである。

マディソン郡の橋 The Bridges of Madison County 

音楽:レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド

 CD/1995/WARNER/日本盤

 

ベストセラー小説(ベタベタの恋愛物語)をイーストウッド自ら映画化した作品で、舞台は現代にも関わらず、バックに流れる曲が、新旧取り混ぜてのカントリー曲になっている所が、いかにも御大らしい構成である。実質、“現代のカウボーイ”と異名を取る主人公だけに、カントリーはピッタリ。唯一「愛のテーマ」とも言うべきスコア曲「ドゥ・アイズ」を例によってイーストウッド自らが作曲。ラスト・シーンの感動を大いに盛り上げている。因みに、イーストウッドが立ち上げたレコード会社“マルパソ・レコード”の、これは第1回リリース・アルバムでもある。(アルバム・プロデュースもイーストウッド自身)

目撃  Absolute Power 

音楽:レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド

 CD/1997/SLC/日本盤

 

『許されざる者』以来、再びジーン・ハックマンを共演に迎えて放つイーストウッド監督のサスペンス作。その『許されざる者』から続いている傾向と同様で、今回も1曲だけ、イーストウッド作曲によるスコアを収録。「ケイティのテーマ」がそれで、ニーハウスのサスペンス・フルなスコアとは対照的に、とても愛らしくて美しい曲になっている点が面白い。主人公が娘を想う気持ちを巧く捉えた名曲である。あと、後々にも『トゥルー・クライム』『ブラッド・ワーク』等のサスペンスものを取り上げるイーストウッドだが、それぞれサントラがリリースされていないので、同種のジャンル作品としてこの映画のサントラは、ある意味貴重でもある。

真夜中のサバナ  Midnight in the Garden of  Good And Evil 

音楽:レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド

 CD/1997/WARNER/日本盤

 

『バード』以来9年ぶりに監督のみに徹した意欲作。アメリカ南部の奇妙な街の奇妙な人々の生態を描いたミステリィ劇で、舞台がジャズ・シンガー、ジョニー・マーサ生誕の地でもある関係か、その関連曲も多数登場。ジャズとカントリーが混在した、映画の内容同様のミスマッチな魅力を持ったサントラになっている。面白いのは、実際に映画に使用された曲以外の曲も収録されている事。しかも、いわゆるコンピ盤としての体裁ではなく、その未使用曲を唄っているのが、主演のケヴィン・スペイシーだったり、イーストウッド監督だったりする所が豪華。『センチメンタル・アドベンチャー』以来、久々にノドを聴かせてくれた御大だが、このお遊び精神がイーストウッドの真骨頂と言えますな。

スペース カウボーイ  Space Cowboys 

音楽:レニー・ニーハウス

 CD/2000/WARNER/日本盤

 

イーストウッド映画としては珍しく豪華キャストによるSFアドベンチャー。SFXもふんだんに使った『ファイヤーフォックス』以来のSF映画で、日本でも『マディソン郡の橋』以来のヒットを記録。「キネ旬ベストテン」でも1位を獲得。サントラとしては、劇中に流れたスタンダード・ナンバー中心の構成で、ニーハウスのスコアが1曲も収録されていないのが残念。ブートレグ盤で、完全スコア盤が出ているが、出来れば正式にリリースして欲しいものである。このサントラのラストを飾るのが、フランク・シナトラの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」というのが、映画のエンディングとマッチしていて、嬉しいですね。

ベスト・オブ・クリント・イーストウッド 

Music For the Movies of Clint Eastwwo

音楽:エンニオ・モリコーネ/ジェリー・フィールディング/レニー・ニーハウス/クリント・イーストウッド/ラロ・シフリン/エロール・ガーナー/

 CD/2001/WARNER/アメリカ盤

 

テレビ・デビュー作『ローハイド』から、マカロニ・ウエスタン、『ダーティハリー』『許されざる者』等、イーストウッドの代表作のテーマ曲で構成されたオムニバス・サントラであると共に、同名タイトルのドキュメンタリー映画のサントラでもある。定番のテーマ曲以外で、今回が初ソフト化となる『ペイルライダー』『タイトロープ』、それに以前のサントラでは収録されていなかった『スペースカウボーイ』のスコア曲(勿論、サントラ!)が収録されているのが、拾いモノ的で嬉しい不意打ちですな。あと、後半10曲は、現代最高の映画作家・イーストウッドを讃える組曲(ジャズ風)になっていて、聴き所満載の1枚となっている。

ミスティック・リバー  Mystic River 

音楽:クリント・イーストウッド/カイル・イーストウッド

 CD/2003/MALPASO&WARNER/アメリカ盤

 

イーストウッドがまたまた監督のみに徹した問題作。初めてといってもいいぐらいの濃い人間ドラマになっていて、内容も濃ければ演技陣の熱演も濃い〜1作。『スペース カウボーイ』に続いて、「キネ旬ベストテン」で1位になった程の名作だが、しかし、サントラとしての話題は、何と言っても、この映画のスコア音楽をイーストウッドが全て担当している事。今まで、映画の中の1曲だけの作曲というのがパターンでしたが、今回でスコア全制覇。そのお陰で、今までの常連コンポーザー、レニー・ニーハウスは、今回は裏方(指揮やコーラスを担当)の方に回っている。ビックバンド・ジャズ風あり、ミステリアス・タッチありと、イーストウッドならではのバラエティに富んだ作風で、1枚のアルバムとしても、十分に楽しめる風格を持ったサントラになっている。2曲のみ、御子息カイル君の作品も収録。

ミリオンダラー・ベイビー  Million Dollar Baby 

音楽:クリント・イーストウッド/カイル・イーストウッド

 CD/2005/VARESE SARABANDE/アメリカ盤

 

『許されざる者』以来、アカデミー賞で作品&監督賞を受賞した名作。楽しさと悲しさの凄まじいギャップを見せてくれるイーストウッド監督の手腕に拍手。前作『ミスティック・リバー』に続いて、イーストウッドが全曲を作曲。よりドラマティックなスコアが増えているのは、コンポーザーとしての腕も完全に板に付いた証拠か。例によって息子のカイル君が、2曲提供している。(コチラに詳しいレビュー有り)

 

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